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ラボ(研究室)

メタルバイブレーションについての考察1

2014/12/7



本格的に冬季に入ってきますと、大半の釣りはシーズンオフか、釣り方が暖かい時期に比べ様変わりしてまいります。特にルアーフィッシングの場合は、もはやワームを使っても釣りづらい場合も多くなり、ときにリアクションの釣り、言うなれば反射行動で思わず魚が口を使ってしまう釣りが他の季節に比べて際立って釣果を上げる場合もあります。

そういった冬季のリアクションの釣りで使用するルアーの代表格と言って良いのがバイブレーションかと思いますのが、その中でもメタルバイブレーションについて考えてみたいと思います。

筆者は、ボートでのシーバスゲームにも時折行きますが、その際にメインルアーとなるのがメタルバイブレーションです。シーバス以外でも、バスフィッシングでも普通に使われていますし、最近は管理釣り場でも小型のメタルバイブレーションが使われるようになっています。
先日も、東京湾内でのボートシーバスゲームを楽しんできましたが、その際に感じたのが各バイブレーションルアーの持ち合わせるアクションの範囲を適切に引き出すことが大きく釣果に影響するということでした。シーバスをメインに狙っている釣り人なら当たり前と言ってよい事かもしれませんが、他のジャンルの釣りを主にやってきた者からすると、とにかく巻くひたすら巻くという印象が強く、それでは逆にどこで釣り方に強弱をつけるのかといった事や、釣れないタイミング程「このままこのやり方で続けていいのか?」といった事が大きな疑問として浮かんでくるわけです。

どうすれば、メタルバイブレーションが効果的に魚を引きつけてくれるかという点で、このルアーはリトリーブスピード(巻き取り速度)、ロッドでのシャクリ動作、ルアー自体が備えている取付穴の位置の調整でアクションを釣り人側がつけやすいルアーと言っても良いのかと思います。

今回、比較対象として使用したルアーは、
冷音(JA-DO)25g 、
Tracy(BlueBlue)24g 、
品名不詳(上州屋で販売されていたお値打ち品)25g、
および、
リトルマックス(エバーグリーン)1/4oz、
ノッキンジョー(ジャッカル)1/4oz、
オーバーライド(O.S.P)3/8oz、
TGジャカブレード(ノリーズ)12g
です。(右画像 上下順)
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スナップ取付位置で変化するアクション

先に申しますと、冷音25gは、スナップを取りつける穴を既存の2個からテール側にさらに1つ空けています。これは、ボートシーバス釣行時の釣果から工夫したもので、釣果結果から申し上げますと、冷音25g 、Tracy24g 、上州屋さんで購入した品名不詳の25gの3種類のバイブレーション(各カラーバリエーションを含む)を使いましたが、品名不詳の各カラーのスローに巻ける一番後ろのスナップ取付穴で使った釣り方でもっとも釣果を得ることが出来ました。
特に、同行者にビギナーもいたため、ある程度のリトリーブ速度でもしっかりとルアーをアクションさせられる事が必要だったため、このルアーを使用していたことが結果的に良い釣果に結び付いたものと思います。

メタルバーブレーションのアクションを変化させる大きな要素が、このスナップ取付穴ですが、
各ルアーにもともと空けられている穴に加えて、電動ドリルとステンレスに穴あけが可能なドリルビットがあれば、ある程度、自由な角度でアクションさせることが可能になります。(ドリルビットについては直径2.5ミリ程度のものが、大半のメタルバイブの既に空いている穴とおおよそ同じ大きさに開けられるかと思います)
上記の冷音25gも新たに空けた取付穴でリトリーブすると、さらにゆっくりとした巻き方でもしっかりとアクションさせることができるようになりました。

上:Tracy 25g
ボディの鉄板本体に対して、ヘッド部分からテール側まで広い幅でウェイトが広がっています。

上:冷音 24g
ヘッド部分にウェイトが集まり、テール側に向けてテーパー状に絞り込まれています。

ルアーの個性と可動範囲

しかし、もともと設定された取付穴はメーカーの方がテストを繰り返して設定された位置なので、これに改造をほどこすという事はメーカーさんが求めた動きとは違うものになってくるという事が前提になってきます。
BlueBlueのTracy 25gについては、メーカーさんのウェブサイトから開発の記録を見ることができますが、シーバスフィッシングのベテランの方々らしい経験をもとに、絡まないこと、軽快に巻けること、釣れる性能(最高の平行性:メタルバイブの姿勢がより平行に近いこと)をテーマに開発されたことがわかってきます。

実際に巻いてみると、25gのバイブレーションにしては巻き感じは大変軽く、リトリーブ時の姿勢が平行に近いせいもあってか確かに絡みにくい印象があります。アクション時もルアー自体はかなりの並行性を保っていました。ただし、ルアーがアクションを始めるための最低限の巻き取り速度は、今回比較した各ルアーのうちもっとも早い速度を必要とするため、このルアーの特性を十分に引き出すためには、ある程度遠投して狙ったポイントを通過するタイミングでしっかりアクションさせられるように心がけなければならないかと思います。

左記は、Tracyと冷音の各ルアーを上部から撮影した画像ですが、ご覧の通りルアーのボディ本体となる鉄板部分へ配置されているウェイトの形状が、Tracyでは、ヘッド部分からテール側へ向けて比較的長くある程度均一の太さで振り分けられているのに比べ、冷音では、ヘッド部分が太くテール側へ向けてテーパー状に絞り込まれているのがわかるかと思います。
そのため、Tracyのほうがテール側へのウェイトの配置もあってかリトリーブ時に前傾になりにくく、反面きちんとアクションさせるためにはある程度の巻き上げ速度が必要になってくる事がわかるかと思います。
この2つのルアーは外見上は非常によく似たデザインではありますが、様々な角度から観察してみるとその用途において異なる機能があると考えてもよいのではないでしょうか。

穴あけの改造をする場合に位置については適当に設定すると、思うようなアクションをしないばかりか、場合によってはルアーの強度を下げかねないため、きちんとした重心位置の確認と角度のテストが必要になりそうです。
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どこまで角度をつけても良いか

左記の画像はノッキンジョー(ジャッカル)の各取付穴でぶら下げた状態を示した画像ですが、このルアーはかなり深い角度まで傾けた状態にできる取付穴が設定されています。実際に一番深い角度の取付穴で巻いた場合、ゆっくりとした速度でもしっかりとアクションし、商品名のとうり、ルアーのアゴ部分で底付近をクランクベイトのリップ同様に小突いて巻く事ができます。
ダブルフックを取りつけた場合、これだけ深い角度を維持できればかなり根掛かりを回避することができるように思います。

この取付穴は、もともとメーカーさんのほうで設計し空けた穴ですからアクションするのは、当然ですが、自分で空けるとなると理想とするアクションを予想しながら空けなければなりません。
一般的に、ルアーの頭側に近いほうの穴が早い巻き上げ速度で使いアクションも早いピッチでタイトに動き、テール側に近くなると比較的ゆっくりな巻き上げでもアクションし、ワイドな動きをする傾向にあるため、現在手持ちのメタルバイブに新しく穴を空ける場合は、既存の穴の位置と重心位置をふまえて調整すると良いだろうと思います。

リトルマックス 1/4oz

ノッキンジョー 1/4oz

オーバーライド 3/8oz

TGジャカブレード 12g

現在、記事を追記中です。

参考リンク

BlueBlue
Ja-do
エバーグリーン
ジャッカル
O.S.P
ノリーズ

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