Fishermans archive

記事一覧

ラボ(研究室)

スピニングリールのハンドル交換

2015/5/28

20150524_002
もう2015年も初夏の漂いになってきました。ただ、梅雨がまだだというのに台風がやってきたりと最近の落ち着かない気候を象徴しているようですね。さて、今回はスピニングリールのハンドルについて、長年、感じていた不便さをもしかしたら解消できるんじゃないかという改造方法についてご紹介出来たらと思います。

皆さん、ご存知のとおりスピニングリールもベイトリールも各メーカーが交換用のハンドルや部品を提供されていますが、とくにスピニングリールについては、ベイトリールのようにハンドル部分をかなり細かい部品までカスタマイズできるようには、残念ながらなっていません。
ハンドルノブ(つまみの部分)については、ベイトリールと共通で色々なものが交換できるようになっていますが、いざハンドルの長さを変えたくなったりした場合には、メーカー、型番や製造年度によっては、自分の好みに合ったものがなかなか無い場合があります。あったとしても、リール本体よりも高いものだったり…。

以前、こちらのブログで紹介したアブガルシアのファンタジスタ REVO STUDIOUSも、リール自体はとっても良いものなんですが、筆者に関してはハンドルがちょっと長く感じておりました。ダイワやシマノのある程度以上のグレード(ちょっと高めの商品)については、メーカー自体が交換用のハンドルをラインナップしていたり、オフィスZPIさんのようなカスタム用品のメーカーが何かしら適合するパーツが見つかるのですが、2015年5月時点では、そういったカスタムパーツは出ていませんでした。
ひじょうに、端的に言うならばハンドルのアームを変えたいのであって、全部取り換える必要はないのです。ハンドル軸自体は、もともとリールに付いている軸がピッタリのものなので、できればこの箇所は残したいというのが本音です。
「せっかくシーズン本番だというのに何か良い手はないものかしらん」と、ジッとリールのハンドルを見ていて「どうせなら構造がどうなっているか分解してみよう」ということで、古いリールのうち、すでに同じような理由で別のハンドルに交換して使わなくなっていたリールのハンドルを分解してみることにしてみました。
20150524_005
そこで、判明したのは予想以上に、ハンドルのアーム部分とリール本体と直接繋がっているハンドル軸との接合がシンプルかつ拡張性のない構造だったということです。もっと言うならば、アーム部分と軸との接合が、ハンドルノブなど他のパーツのようにネジで固定するようになっていれば、誰でも簡単に軸とアームを分離できるので長さの調整や交換がしやすい箇所であるものが、工業製品でいうところのリベットのような構造になっているために取り外しができなさそうな状態になっていたことです。
はじめのうちは、壊してしまっても仕方のないつもりで、この接合部のリベットの箇所を釘と金づちでコツコツ叩いてみたり、先の細かいペンチなどで回してみたりと色々取り組んでみたのですが、取り組むこと数十分、さすがに業を煮やして金属切削用の細いドリル(家庭用)で、接合部のうち、少しくぼんでいるように見える側に対して穴あけというよりは、削りに掛かってみました。ここから先は、偶然と申しますか、結果的にリベットもしくはピンの固定するために広げられていた薄い金属の部分のみを削り取ることに成功しました。
すると、あっけなくハンドル軸とハンドルアーム本体が分離できてしまいました。
金属用3ミリで削ります。
アーム、軸、ピンに分離。
アームの内側

分解してみて、おおよそのリベット(ピン)の構造や、固定方法がわかったため、同じような形状で固定されているスピニングリールのハンドルで余剰に持っているもので、自分の好みの長さにかなうハンドルとREVO STUDIOUSのハンドルとを交換してみることにしました。
このとき、注意しなければならないのは、ピン留めしてある箇所とハンドル軸に付いている“はかま(リール本体とアームの間を取っている金具)”との距離、ハンドル軸の太さによっては、交換したハンドルをリール本体に取り付けた場合に、そのままではきちんとアームが固定されない場合や取りつかないがあるので、その場合はワッシャーや座金などで幅を調整してやる必要があります。
また、ピンの長さと太さもハンドルによって違う場合があるので、出来る限り元のピンを活かせるように削り過ぎないようにする注意が必要です。ピン自体も交換しなければならない場合、代替のピンと固定方法によっては、使用中に脱落する可能性があるので、その場合も、元のピンを温存しておけば東急ハンズやホームセンター等で代替のピンとしてふさわしいものを探すのにおおいに役立つものと思います。あくまでも、改造は個人の責任で行ってくださいね。

今回は、運のよい事に交換元のハンドル(ABU製)と交換先のハンドル(シマノ製)のハンドルが、ハンドル軸の厚みなどが、ほぼ変わらなかったため、アームと“はかま”の間にワッシャーを1枚ほど余分に取りつけただけで済みましたため、予想以上に簡単に交換ができてしまいましたが、実際にこの作業を行う場合は、まず交換元と交換先のアームや軸の厚みの違いを確認して取りつけても問題なさそうな部品同士で交換すると良いかと思います。
ちなみに、交換前のハンドルの長さが50ミリ、交換後のハンドルは40ミリのアームの長さにしましたが、個人的には劇的な使用感の向上がありました。筆者の場合、他のスピニングリールのハンドルも40ミリのものがほとんどなうえ、ベイトリールも80ミリ(つまり片側40ミリ)のものが多いため、50ミリのハンドルで回すとどうしても違和感があったのですが、これでこのリールも筆者の愛用としてこれまで以上に長く付き合っていけそうな気がします。

右の画像は、いちばん上が50ミリのスピニング用ハンドル、その下が90ミリのベイト用ハンドル、一番下が80ミリのベイト用ハンドルです。5ミリずつの違いですが、実際の巻き感じはかなり違ったものになってしまいます。レンズ作りの職人さんは、1/1000ミリも触ると違いがわかるそうですから、普通の人間にも5ミリは大きな違い、釣果の差になってくるかもしれませんね。
参考リンク

ダイワ(グローブライド)
シマノ
ピュアフィッシングジャパン
オフィスZPI

コメントは受け付けていません。

© Fishermans archive.